技能実習制度に感謝している人がいる面も知っておくべき

日本国内だけではなく一部の外国から現代の奴隷制度と揶揄される技能実習制度。直接技能実習制度に関わることがない人でもマスメディアなどを通じて何となく良くない制度と思っている人も多いかと思います。悪い部分だけが取りざたされるのでイメージが悪くなっていますが、実際この制度の元で働く側も雇う側も満足している人がいるのも事実です。また公正に雇っている会社が昨今の報道で風評被害を受けているというところもあります。今回はそういった立場の人たちに焦点を当てて少し語らせてください。因みにこのブログのテーマ上、実習生はベトナム人とします。

建前の制度は置いといて・・・

技能実習制度の建前は新興国への技術実習支援。しかし実際は単純労働力の補填制度。もうこれについては異論の余地はないでしょう。日本が外国人の単純労働を認めていないのでこういったことになっていますが、今となっては暗黙の了解になっています。肝心なのはこの建前上の制度で来日する実習生が不当に搾取されていないかが重要な部分になります。

失踪の理由は「騙されたから」と言うけれど?

メディアで取り上げられる失踪実習生は、ほぼ日本の受け入れ企業やベトナム現地の送り出し機関による不当な搾取、また職場での酷い扱いが原因として報道します。実際こういった面はありますので否定はしませんが、当の実習生が自分勝手に失踪して、むしろ受け入れ企業側が裏切られたというパターンもあることは知っておくべきかと思います。私の知り合いの経営者で実習生を採用していますが、ちゃんと法律内で雇い、きっちりとした職場環境で働かせていたにも関わらず、実習期間が終了する直前に失踪してしまったと言っていました。恐らく更に稼ぐために実習期間後も日本に不法滞在し、捕まるまで稼ぎ続ける目的かと思われます。その経営者の「寂しいよね。。。」と語っていた表情が印象に残っています。

失踪に後ろめたさがある実習生がメディアに出るわけがない

明らかに酷い扱いを受けて失踪せざるをえないような状況であれば、その窮状を訴えるためにメディアに出ることもできるかとは思います。しかし上で書いたように明らかに自分勝手な失踪の場合はどうでしょうか?メディアに出たところで反感を買うだけでしょうし、不法滞在がばれて強制送還が目に見えてますので当人にとっていいことがありません。なのでこういった失踪者は表に出にくいので一般の人が知りにくいということが指摘できます。失踪実習生による犯罪が報道されると一緒くたに関係機関や受け入れ企業の批判に走る人がいますが、これは公正に就業させている実習生関連団体に対して気の毒なところがある、というのが私の考えです。一部のベトナム人が日本で悪さをすると「全てのベトナム人=悪い」みたいな考えに走るのと似たような感じかと思います。

絶対悪であるなら多くの実習生は日本に来ない

「なんで実習に行くのか?」と聞けは9割以上は「お金を稼ぐため」と答えるでしょう。これが本音です。つまり自分の想定のお金さえ稼げればとりあえずOKということです。しかし実際に日本で生活したり日本人と接する中で、その実習期間が凄く楽しかったという人もたくさんいます。こういった人たちが帰国後に日本での滞在経験を伝えることで、また次の実習生たちが日本に行きたいと思うようになるわけです。

もちろん中には日本で酷い目に遭い、「もう二度と日本へは行きたくない」と思う人もいます。しかしそういった人は全体の中のごく一部で、これから日本へ行く人たちは「運が悪ければ自分もそんな目に遭うかもしれない」という程度に考えています。そもそも来日する実習生の大半が「日本は嫌だ」と思うような国であれば、この制度はとっくに終了しているのではないでしょうか。

法定内で就業させているのなら後は実習生自身が判断するところ

日本の労働基準法以下で就業させているのなら言い訳の余地はありません。これは厳罰に処分するべきでしょう。過去にある縫製企業の社長が自社を存続させるために実習生を不当に使っていると言っていました。そんな会社はさっさと潰れればいいと思いますし、実際私がその話を聞いた2年後に廃業しています。

しかしちゃんとした法律範囲内で働かせた上で、これを不服とするのであれば日本に来る必要はないでしょう。最近はベトナムの賃金も上昇していますので、日本に来ても思ったほど稼げないと思うベトナム人も増えています。今後更に経済が発展したときに地域の最低賃金で働かせることにどこまで旨味を感じるのか?それはその実習生次第になりそうです。

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