テト期間中のベトナム人模様

今日はベトナム旧正月のテト3日目です。年末年始は日本で過ごし、テト前にベトナムに戻りましたので感覚的には2回正月気分を味わっているわけですが、まあベトナム側の正月は日本ほど自由がきくわけではありませんのでボチボチやってます。今回はちょっとテト期間中に感じたあれこれについて書きます。

恒例の親族詣で

田舎のように親族が固まって住んでいる地域ですと毎年恒例の親族訪問がテトに行われます。基本ベトナムでは親族を「ウチ」と「ソト」に分けまして、結婚している世帯を基準に夫側の親族を「ウチ」、妻側の親族を「ソト」とします。でもって元日は「ウチ」側の人と交流し、「ソト」側は2日以降に交流するという文化なのですが、私の場合は立場的に元日から妻の実家にいることから私から見て「ソト」の親族を元日から交流していることになります。

とりあえず午前中に15件ほど訪問

1件あたり15分ぐらいでしょうか。その家の家長は家に留まり自分の家に来る訪問者の対応をし、それ以外の人員は「ウチ」の親族詣でに繰り出します。子どもを入れて10人は超えるのが普通ですので、ちょっとした参列です。道中は徒歩やバイクが多く、すれ違う人が何かしらの親族であったり知り合いなんていうのも田舎ではよくあることです。

子どもにとっては小遣い稼ぎの場

挨拶回りとセットであるのがお年玉です。大体一人当たり1万~10万VND(約50円~250円)が相場ですかね。額は少ないですが渡す側からするとあげる対象の数が半端ないので、お年玉授け部隊は新品の札束を準備してこの日に備えます。私はというと、妻の近い身内(両親含めて10人程度)だけにそれなりの額を渡すのが例年です。ただ少額紙幣の札束を握りしめて「ええじゃないか」みたいなバラマキをやってみたいと思わなくはない。。。

私の子どもたちも各家庭でそれぞれもらって最終的には100万VND程度になっていました。お年玉をもらうまでその場を離れようとしない子ども、何となくもらうのを待っているような雰囲気を醸し出している子ども、というのは日本と変わりません。

こんな感じでお年玉やらギフトやらそれ以外にも出費があるテトなので、少ない賃金で働くワーカーなどを中心に、企業がテト賞与を渋るというのがどういうことを意味するのか想像に難くありません。

身内と言えど誰か分からない身内は多い

(今年は猫年。猫好きなのと相まってかわいらしいと思うオブジェが多い)

とりあえず挨拶に行くも関係性、誰か分からない、というのはあるあるです。特に家を出て都会で暮らしているなど、家元を離れているような若い子であれば尚更です。もちろん相手方にとっても同じで挨拶に来ている人全員を分かってるかというとそういうわけでもありません。なので

「あれはどこの子だったかな?」とか「あれは~さんの奥さんだっけか?」

なんてやりとりもよく聞かれます。私の場合は村で希少な「外国人」ということで比較的覚えられやすいということもあり、私のことを知っている人でも私が知らない人のほうが圧倒的に多くなります。

身内同士の憶測

テトの挨拶回りに限ったことではないですが、一定の親族が顔を合わせる機会になるとそれぞれの親族に対しての噂話や憶測もよく飛び交います。例えば「○○の家の~が不倫しているらしい」とか「~は金に困って今年大変らしい」などなど、どちらかというとあまりよろしくない話題のほうが多いような気がします。なので憶測というと、例えばテト期間中に私の妻は田舎に帰って私だけ日本に一時帰国した場合、

「なんであなた(妻)は一緒に日本に行かなかったのか?」「夫婦仲良くないんじゃないか?」

なんて思われる可能性もあるんだとか。なのでこういった憶測が立たないようもっともらしい理由を準備する必要があるわけで、こういった田舎の煩わしさを嫌う若いベトナム人も多いです。「田舎では公の場では夫婦一緒に」これが一番。

年中無休のイオンスーパー

ベトナム北部で幅を利かせるビンコムモールも年末年始は休んでましたが、イオンモールは年中無休でやってました。最近は日本でも元日営業を見直す動きが見られますが、こちらでは元日と言わず年末3日前ぐらいからサービス業を中心に休みます。まあ皆田舎に帰ってスタッフ確保が難しいという理由も大きいですし、開けていても人があまり来ないなんて事情もあるのでしょう。

元日にイオンスーパーへ行ってみましたが思った以上に混雑していました。周りが閉まっているので集中しやすいという事情もあると思います。客層を見ると家族付き合いもほどほどにしたい学生たち、他の地域からハノイに来て観光半分にイオンモールを楽しんでいる(と思われる)ファミリーなどが中心です。2日になるとテト初日の主要な挨拶回りを終えた家族や友達同士で飲食店も賑わっていました。

こんな時期に働くスタッフも気の毒なものかと思いきや、同じイオンで働く身内のベトナム人に話を聞くと必ずしもそういうわけではなさそうです。

・テト期間中は賃金が3倍になる

・テト期間中に田舎に帰っても面倒くさいことが多い

・あえてテト期間をずらして帰ったほうが経済的にも時間的に効率的

などなど。主に独身者に多く聞かれる意見ですが、人によっては「ベトナム人=I love Tet.」ではないことが窺えます。

こんな感じで旧暦の年末年始を過ごしつつ、今日は妻の従兄弟の家に酒を飲みに行ってきます。もう少しの間、仕事から離れます。

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