ベトナム人妻との出会いから結婚まで【出会い編】

ベトナムで日本人に「ベトナム人の妻がいる」と話すと、職場とかカラオケで知り合ったと勝手に思われることがあります。確かにそういった出会いの人も多いのでそれはそれで仕方がないと思っていますが、私の場合は結構特殊なケースなので忘備録も兼ねて記載します。

出会いのきっかけはテトに一時帰国しなかったこと

当時ベトナム企業に勤めていた私はドローカルなnhà nghỉ(ニャーンギー/簡易宿泊所)に住み込んでいました。ラブホテルも兼ねてますのでお忍びの不倫カップルとかもよく見たものです。場所はハノイの西側郊外で、日本人のハノイ在住者でもほとんどが知らないエリアです。で、そこの家主(私より2つ上の女性)は簡単な英語を話せたこともあり、ベトナムに来てまだ間もない私にとっていい話相手になりました。晩御飯とかも家主や従業員と一緒に食べたり、酒を飲んだりしたのはいい思い出です。

そんな関係性で日々過ごしていたわけですが、日本の正月時に日本への出張も兼ねて一時帰国したこともあり、ベトナムのテト休みは日本に帰りませんでした。テト休みと言えばみんなが田舎に帰って静まり帰るというのはベトナムに住んでいれば誰もが知るところですが、初めてのテトを経験した私にとってそれがどんなものなのかは知る由もありません。やっぱり店も何もかも閉まって退屈をしていると、当時の家主が

「どこも店閉まってるから暇でしょ?一緒に私と田舎帰らない?」

と誘ってくれます。お誘いは嬉しいものの、オールベトナム人で当時はベトナム語もほとんど分からない私。どうしようかなぁと少し悩みます。ただ、

「けど行かんかったら食べるもんもないし…田舎って言うてもハノイ郊外のバイクで40分ぐらいやったら日帰りもできるし。まあいいか。」

ぐらいな感覚でついて行くことにしました。もしあの時断ってたら今の妻が隣にいることはなかったんでしょう。

いざ出会いの場となった田舎へ

家主に連れられてバイクを走らせること40分余り。地理的にはハノイの西からハノイ南西方面へ移動するような感じでした。ハノイと一言でいっても都会なのは中心部のみ。そこから外れるとまだまだ未開の田園風景が広がっています。

家主の実家もそういった田舎にあったので、親族のほとんどは同じ村内に住んでいます。実家には家主の両親と兄夫婦、その子どもたちが住んでいました。旧正月の1日から全く面識のない人がいる実家へ訪ねるのもどうかと思いましたが、当時ベトナム語が分からない私を快く迎え入れてくれたのは今でもよく覚えています。

その家主はバツイチということもあり、私が訪ねた時には

「恋人を連れてきた」

とその場にいた親族間でちょっとした騒ぎになったのはいい笑い話です。

お正月ということで男は酒を飲んで盛り上がっています。私も外国人ということで珍しい&ベトナムの酒が飲める奴といったところがよかったのでしょうか。次から次へと酒を注がれては当時全く分からないベトナム語でお構いなしにしゃべり続けられます。

約2時間ぐらいそんな場があった後、近所の親族へ挨拶周りにいくということで外に出ることになります。当初家主はそのまま飲み続けてて構わないと言ってくれましたが、全く言葉が分からない場に居続けるより他の家の正月風景を見てみたいといった気持ちから一緒について行くことにしました。

全部で6件の家に廻りましたが、その最後の家が今の妻の実家だったのです。

初めて会った妻に

私が初めて家主の親族の家(今でいう嫁の実家)に行ったときには大勢の親族が集まってどんちゃん騒ぎをしています。私を見ると、やっぱり周りは家主が連れてきた新しい彼氏だと思っていたので(こんな田舎でしかも正月の初日に外国人が来るわけないという思い込みから)、手加減なしのベトナム語で色々なことを言われてそのまま中へ通されます。ただベトナム人にしては少し様子がおかしいとすぐに悟られ、そこで初めて外国人であることを分かってもらえました。

(家主が)事情を説明して、そういうことならと、結局飲みの席に着いた私。その飲みの席で将来の義父がこんなことを言います。

「うちの娘はどうだ?年頃なのにまだ恋人がいないんだよ。」

この当時は家主の英語を介してお互いに冗談で話してましたが、これが将来の義親子の関係になるとは全く考えていなかったでしょう。そもそも私のこれまでの恋愛歴でも、恋人より先に恋人の父に会うというのは初めての経験でした。

で、いよいよ初めて今の嫁と出会います。私が外国人で、年頃の女性のシャイな部分も手伝ってか、それほど積極的に話すような感じではありませんでした。片言程度の挨拶のあとは、外国人が自分の家に来たという物珍しさを感じているといったところです。後日談で妻に私の第一印象を聞いてみてもはっきりしたことは言いません。ただ「印象的だった」の一言のみ。

一方、妻の第一印象はというと、あんまりベトナム人っぽくない顔というか…あとよく笑顔になる子だなぁと言った感じです。ただこの時点で彼女にアプローチをしかけるとかは全く考えていませんでした。

家主を介して私のフェイスブックのアカウントを聞いていたようで、その場で友達申請がきていました。ベトナムでは初対面で特別な感情がなくても、とりあえずフェイスブックで繋がるというのはよくある話。私も特に気にせずその場で友達になりました。

今思えば、この時の申請やり取りがなければその後再会することはなかったと思います。

>