ベトナムは日本語を話すベトナム人が多いということもあり、ベトナム就業を促す企業サイトなどでは「ベトナムは語学が苦手でも大丈夫!」みたいな記載がよく見つかります。確かにそういった面もありますが今回はその辺りの事情について、もう少し突っ込んだ部分までこちらの記事で書いていこうと思います。
英語力がなくても仕事は見つかるが・・・
ベトナムで日本人を募集している求人を見ますと語学不問の求人は確かにあります。この手の求人は「仕事相手が日本人のみ」または「職場の外国人スタッフは皆日本語が分かる」という企業に多いです。一見が語学が苦手な方にとっては嬉しい求人のようにも見えます。しかし実際のところ英語力が不問の求人というのは以下のようなデメリットが挙げられます。
給料が安い
当然と言えば当然ですが、語学力不問の求人は全体的に安月給です。ベトナムの現地採用の平均給与は2000USD辺りを推移していますが、語学不問の求人は1500USD辺りに集中します。本人の環境によってはその給料でも十分ということもありますが、やはり薄給の扱いになります。
今後のキャリアに差支えがあるかも
これは若い方が特に当てはまることですが、現地採用など海外での勤務経験がある人は必然的にそれなりの語学力(英語力)があるだろうと思われがちです。次の会社へ転職する際にも、「海外経験はあるけど語学は全然分かりませ~ん」なんて人はそれだけで印象がマイナスになります。下手に海外経験があるにも関わらず語学力が低いと印象値を下げてしまうリスクがあります。
単純にかっこ悪い
感情的な話になりますが、海外在住とか海外で働いているのに英語が全然できないのはかっこ悪いかと。現地事情を全然知らない人からすると、海外にいるということを聞いただけで「すごーい」とか「英語ペラペラなんだろな~」とか思われるものです。相手が勝手に想像している期待値に自分が全然到達していないというのは結構恥ずかしいものです。
ベトナム人スタッフとの関係
そこのスタッフの性格にも依りますが、「語学ができない日本人」は馬鹿にされやすいです。それに代わる何か特殊なスキルを持っている人などであればいいですが、単なる営業や事務といった汎用職ではそういった扱いを受けることもあるでしょう。考えてみれば分かると思いますが、薄給とされる1500USDでもベトナム人から見れば、かなり優秀な人だけが到達できる給与レベルです。それを同じぐらいの年齢で、ただ日本人というだけでその給与を貰っていれば、やっかみのような感情を持たれてもある意味仕方がありません。特に日頃からベトナム人スタッフと良好な関係が築けていない人の場合、そのリスクはかなり高まります。
語学が苦手な人がするべきこと
上に書いたことを見た上で「それでも構わない」「語学は面倒だから勉強したくない」という方はここから下は読む必要はありません。ここからは特に若い方向けの今後のキャリアアップに向けて重要な点を書きます。
今は日本にいて、これからベトナム就業を考える場合
日本に居て、中々外国人と接したり英語を使う機会もないという方。とりあえずTOEICの勉強をして下さい。TOEICの点数が高くても会話ができなかったら意味がないと考える人もいます。しかしそもそもTOEICの点数すら満足に取れないようであれば一生会話もできません。何もハイスコアを取る必要はありません、とりあえず600点程度を目安に頑張ってみてください。
英語が求められる求人ではこれまで英語を使った業務経験があるかを見られます。しかしその経験が無かったとしても、とりあえずTOEICでそこそこのスコアがあれば、「初めは会話ができなくても徐々にできるようになるだろう」という見られ方をされますが、そもそも資格が無ければ書類選考で落とされる可能性がかなり高くなります。何だかんだいって日本は資格大好き国家です。資格はあればあるだけ転職に有利だと思ってください。
既にベトナムにいて英語が全然できない場合
最初に英語不要の求人で入社し、今も全然英語ができないという方もいるでしょう。今後のキャリアアップを目指すならある程度の危機感を持ったほうがいいと思います。職場で英語を話す人が誰もいない場合、英語を話すベトナム人の知り合いを作るなどして英語力の向上に努めて下さい。ベトナムに居たとしても座学で英語力を上げることも必須です。はっきり言って会話力はインプットがしっかりできていれば後は慣れです。むしろインプットに時間を割くようにしてください。
海外で語学ができない優秀な人はいない
自分の周りを見ていても、現地で優秀と言われる人は皆一定レベル以上の語学力を有しています。これは業務的な観点からも明らかで仕事は自分一人で完結するものではありません。自分の力やスキルを発揮するためには語学というツールが絶対必要になります。通訳がいれば問題ないと思うかもしれませんが、第3者を介してコミュニケーションを取るのと、直接やり取りをするのでは人間的な関わりにおいても雲泥の差があります。
現地採用であればただでさえ不安定な立ち位置になるので、いざと言うときに語学力があるのかそうでないのかは自分の身を守る上で重要なスキルとなります。
英語とベトナム語、どちらを優先すべき?
色々な考え方があると思いますが、どちらの言語も分からないというのであれば英語を優先すべきだと考えます。理由として以下のことが挙げられます。
・英語のほうが汎用性がある
・ベトナム語だけでは対応できない仕事があるが、その逆は少ない
・環境や学習ツールの関係上、英語学習のほうが効率がいい
ベトナム語は勉強しても挫折する日本人が多いですし、ものになるにはそれ相応の時間をかけなければなりません。ビジネスで使えるレベルまで引き上げようと思ったら1年や2年の勉強程度では足りないでしょう。しかし英語につきては一応学校教育を受けていますし、勉強の仕方もそれなりに経験があると思いますので、少なくともベトナム語よりはとっつきやすいと思います。
ベトナム語は英語+@程度に考えるのがちょうど良い
正直ベトナム語を業務レベルで使用できる日本人はめったにいません。これは単純に勉強時間だけではなく、ある程度のセンスも要求されるからです。しかし少しでもベトナム語が分かれば社内のスタッフはもちろん現地の一般人とのやり取りにも花が咲きます。なので今の時点で英語ができないというのであれば、英語を軸にした上でベトナム語を補助的に学ぶ程度にしたほうがいいかと思います。
一般に日本人は語学が苦手な人が多いので、人材紹介会社など日本人をベトナムに呼び込みたいと思っている企業は語学面に関して甘い言葉をささやきがちです。しかしそういった会社にとって、ベトナム就業後のキャリアプランや将来設計などはどうでもいい話です。海外で今後も生きていこうと思っている方や、今後も仕事探しで干されたくないと思う方は語学力を軽んじないようにして下さい。