情報統制がある国というと真っ先に思い浮かぶ国は中国でしょうか。それともロシア?どちらにしても共産圏のイメージがあるように思います。今回は私が仕事で現地のフリーペーパーに書いているコラムが検閲でお蔵入りになったときの話をします。
事のきっかけ
フリーペーパーの担当者から電話がかかってきてこう言われました。
「誠に申し訳ありませんが検閲に引っかかってしまい、頂いた原稿を掲載することができなさそうです。別の内容で再度作成いただけますでしょうか。」
「検閲があるのは前から知ってたけど、まさか俺がやられるとは。。。と言うかそんなヤバいこと書いたっけな???」
電話を受けたときの私の反応はこんな感じです。因みにそのとき私が書いたのは以下のような内容です。
「民間企業では~~なときに不正にお金を受け取っているスタッフが時々います。日系企業も例外ではないので注意しましょう。」
もちろんストレートに政府批判などはしてないので、なぜお上は気にいらなかったのか?担当の方も色々表現を変えたりして再三アタックしてみたそうですが、取り付く島もなかったようです。
なぜ引っかかったのか?
今回検閲でアウトになった理由として以下のようなことを担当の方は仰っていました。
「我々のような日本人(外国人)向けの情報誌ではベトナムのマイナス面を書くとアウトになりやすいんです。たとえそれが事実であったとしても敢えて情報誌に載せるというのはNGで、前にも検閲で通らなかったことがありました。それはハノイで起きた外国人に対する痴漢事件についての特集記事だったのですが。。。一般の新聞などで報じられても外国人向け情報誌という立場ではダメだという判断だったみたいです。」
つまりベトナムの宣伝的な役割を果たす情報誌として、悪いことを敢えてわざわざ掲載する必要なし、ということなんでしょう。こんなところで争っても仕方がないので大人しく当たり障りのない差し替えの記事を書き、件の記事はお蔵入りで日の目を見ることはありませんでした。
個人的に思うこと
「お蔵入りの理由はよく分かりました。これからは気を付けます。」となるしかないですし、まあ私もベトナムに根を張る立場上、変に逆らってベトナムにいれなくなると困りますからね。外国人の英語教師がフェイスブック上で政治批判をしてベトナムから強制退去になった例もありますし。
しかし今回の一件で改めて感じたのは、こういう面がある国だからこそ書籍やネット、SNSなどの情報媒体を介さないコミュニケーションに価値があるように思いました。実際私もその場限りのセミナーでは今回お蔵入りになったような内容の話をペラペラ喋ることができますし、どちらかというとそういう話のほうがセミナーで話す本題よりも食いつきが良かったりします。
今後ベトナムで長く生活していくつもりの立場としては、情報の出し入れに関しても国と上手く付き合っていく必要があることを学んだ出来事でした。