ベトナムには様々な伝統的調味料があり、好みに応じてその調味料を選択しながら自分好みの味に仕上げていくスタイルです。なので私も知らず知らずのうちに、「この料理にはこの調味料」という感覚が備わっているのですが、ふとしたやり取りから「味を調える」ことについて考えてみることがありました。今回はそんなベトナムの味付けのお話です。
きっかけは日本人の奥さんの話から
日本人同士で話していたときのある奥さんの話。
「うちの旦那は料理を食べる前に調味料を振って味を整えようとするの。失礼だわ、ホント…」
私もこういう話は何回か聞いたこともがあるので特に何とも思いません。確かに食べる前にこういうことをされると、暗に味付けを否定されているような気がして不快にもなるでしょう。
一方ベトナムの家庭ではどうなんだろうと思い、自分自身を振り返ってみます。
「俺もめっちゃやってる(汗)」
良くないかな?と思いましたが、よくよく考えてみるとそれほど問題ではないことが分かってきます。
味を調える前提のベトナム料理
もともとベトナム料理は出来上がった料理に対していくつかの調味料を組み合わせて自分の好みの味にして食べるというスタイルです。スープが大事というフォーでさえ、ライムやら酢、唐辛子や胡椒、魚醤まで色々な調味料を自分の裁量で組み合わせて食べます。
なので乱暴な言い方をすると食卓に出す料理の味付けはそれほど手の込んだものではなく、むしろ料理の味はその後の自分の調味料のさじ加減で決まるといってもいいぐらいです。一般に東南アジアのエスニック料理は辛いと思われがちですが、実際のところベトナム料理はそういった辛さも自分の好みで調整できるものが多いです。(なので当のベトナム人も辛いものが苦手という人は案外多い)
もちろん料理の段階での味付けも必要ですが、日本ほど長時間煮込んだり所謂「さしすせそ」にそこまで慎重になる必要もありません。とりあえず魚醤を中心に1~2つぐらいの調味料の分量さえ間違えなければ問題ないでしょう。日本人でベトナム料理をそれなりに作れる人から言わせると「ベトナム料理は簡単」とのこと。
なので私が家でご飯を食べるときも、嫁はその前提で付け合わせの調味料を食卓に並べますので、冒頭のように食べる前から味を整えたところで不満が出るということはないわけです。というわけで今日も私は自分で味を調えます。
ただ無意識のうちにそうすることが普通になってしまっていますので、日本人にご飯を振る舞われたときは少し注意する必要がありそうですね。こういうところの習慣化は気を付けないといけませんね。