全員豊かで平等ってのも難しい

日本郵政が正社員の待遇を下げて非正規との差を縮める計画を打ち出したんだそうな。当然正社員側は反発、世論にも議論を呼んでいるようです。今回はその点について思うところを少し。

皆で豊かにという幻想が崩れた

今回の日本郵政のやり方を賞賛するつもりはありませんが、やるならこういうやり方が一番手っ取り早いだろうなぁとは思います。正規、非正規の格差は前から取り上げられていますが、正社員との待遇格差で怒っている非正規雇用の人たちは今回のようなやり方で嬉しいんでしょうか?

何となく幻想的に非正規の待遇を引き上げるというのを期待していた人が多いように感じますが、正規の待遇はそのままに非正規の待遇を引き上げるとなると、足りない分の金をどこから持ってくるのか?という話に当然なります。経営側が資金を不当に溜め込んでいて従業員に還元されていないという考え方もありますが、日本郵政みたいな知名度のあるところが今回みたいな話を上げたり、世界的な車メーカーの会長が終身雇用はもう無理なんて言うわけですから日本もいよいよ従来のシステムでは限界だということが窺えます。

一億総中流がどれだけ贅沢なことなのか、そんな時代に突入です。

いっそのこと全員が非正規になったら?

今の正社員のシステムを終わらせて非正規の待遇が正規になったらどうなるでしょうか?この場合非正規と言っても実力があれば給料はもちろんはね上がりますし、必要ないと判断されると契約終了となるシビアな世界。海外では割とよくある雇用形態ですが、日本はこれまでの安定正社員の記憶があるのでアレルギー反応を示す人が多いと思います。

「そんなことしたら格差がー」という話になるのも重々承知ではありますが、「格差=不幸」と必ずしも直結しないのがこれまで色々な格差社会を見てきた個人的な感想。ベトナムにいますと人間って自分の置かれた環境でそれなりに幸せを見つけることができる強い生き物なんだなぁとよく感じます。ただ同じ格差でも日本は既に豊かさを知ってしまっていますので、それを受け入れるのは容易ではないでしょう。一方で日本人全体がその格差を恐れるあまり、今回の日本郵政がやろうとしているような上を下げて平等を試みるやり方は、国の発展という観点から考えるとどうなんだろうか?

そんなことを考えていると

正直明日は我が身ぐらいの感覚でこの記事を書いています。今となっては一応人を雇う側の立場ですが、安定なんてクソもない身分ですし、ちょっとやり方を間違えれば借金抱えてとことん転落なんてこともありえます。上手くいかないときは「ちゃんと今年やっていけるだろうか?」とベッドの上で考え込んで眠れないこともあります。

ただやっぱり今も仕事していて感じるのは結局現状と向き合って、それに対する備えをするしかないのかなぁということ。金銭的なことはもちろん、自分自身のスキルを磨き続けることや人脈の構築、世の中のニーズをくみ取ってそれに沿った行動をとる、などなど。この辺りは雇う側であろうが雇われる側であろうが似たようなものだと思います。

とどのつまり多方面から求められる能力があって、自分自身の力で稼ぐことができるというのがこれからの時代一番安定した生き方ができる人ということになるんだろうという結論に至りました。

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