ベトナムには伝統的なインテリアとして特徴的な木製家具を使用する習慣があり、本格的なものを購入するとなると中々値が張ります。今回はベトナムの伝統的な木製応接セットについて書きます。
一生ものの家具
ベトナム人の家庭にお邪魔すると客間でよく見かける画像のような家具。職人が一つずつ手作りで作るようなので、値段も幅広く10万円~100万円と様々な種類があります。木の材質も経年で変わることのない高品質のものを使っているそうで、文字通り一生ものの家具なんだとか。ベトナム木材の産地「ザーライ省(南中部、ダラットの近く)」はこの手の家具の産地で、この種類の家具専門店では「ザーライ産」と謳っているものがよく見られます。
しかしこの家具、私のような外国人にとっては使い勝手が正直よくありません。見ても分かると思いますがカチカチなんでくつろぎにくいですし、ソファーじゃないので寝転がるにも不便です。この感覚はベトナム人の若い人も同様で、高いだけで実用性が低いと敬遠されているのが現状です。中には夏場に横になると涼しいから快適だという人もいますが、それ以上のデメリットのほうが多いかと。あと凝ったデティールほど掃除が面倒くさいということもあり、背もたれ上部の装飾部分に埃が溜まったこの手の家具をベトナム人の家で見ることがよくあります。
しかし一定の年齢層以上の人からは大変支持されており、この重厚感がたまらないようです。新築や改築をした際に思い切って購入する人もいて、収入に見合っていなくても見栄を張って購入するオジサンも多いと聞きます。人を招く際に客間にこの家具が合ったら誇らしいといったところでしょうかね。玄関入ってすぐに客間があるベトナムの家の構図では、これが「家の顔」のような役割があるようです。
インテリアとしては豪華?古臭い?
若い人からはいかにも「木」というデザインの家具は好まれません。特にマンションや西欧風の建物には合いませんので、こういった住宅が増えている都会では需要も減っていってるのではと思われます。
一方地方では現代的なデザインの家具を取り扱う店自体が少ない(ない)ところも多いので、昔からある伝統的なスタイルの家具しか選択肢がない事情もあります。またそういった理由から地方の家に置いてある家具はどこも似たようなものが多いので、やっぱり各家庭ごとの内装やインテリアに特徴が出にくくなっています。
昔からあるような家では室内の壁の色が薄緑で、木製の応接セット、子ども用のタンスはプラスチック製、天井には大型の扇風機が取り付けられているのがテッパン、といった感じです。