べトナムのアオザイ豆知識、よくある誤解について

ベトナムのイメージは?と聞かれてアオザイと答える人もいるかと思います。ベトナムでアオザイを見る機会は日本の着物を見る機会よりも多く、現在でもベトナムの日常に根差しています。しかし何となくのイメージから勘違いしているような部分も結構あるわけでして、この記事ではその点について解説していきます。

アオザイに関する豆知識

其の一:アオザイの意味は「長い服」

少しベトナム語を勉強すればすぐに気づくアオザイの意味。áo dài(アオザイ)と書きまして、 「áo=服」「 dài=長い」という意味になります。カタカナで「アオザイ」と書くのは北部の発音を反映していまして、南部の発音では「アオヤイ」となります。

其の二:式典で着られる伝統衣装

ベトナムにいればすぐに分かりますが、学生の制服を除きアオザイは日常的に着られるものではありません。結婚式や何かの式典など限られた場面で着られる伝統衣装です。一般の人がアオザイを着る場合は何かフォーマルな催し事があると思って間違いないでしょう。因みにベトナムの伝統的な結婚式では参加者がアオザイを着るのは近い親族だけで、それ以外で招待された人がアオザイを着て出席することはあまりありません。

其の三:色と柄が表す年齢層

アオザイのイメージは何色でしょうか。旅行などのイメージでよく使われるアオザイは模様の無い純白が目立ちます。上下白のアオザイを着た女性が自転車に乗っている姿は正にベトナムという感じがしますが、白のアオザイは学生(特に高校生)だと思ってください。南部ではアオザイを制服とする学校が多いですが、北部ではこの校則がほとんどありませんので、白のアオザイを見かける機会は意外と少ないものです。また黒は基本的に40代以上の層に多く、黒に黄色の花模様はいわゆるオバサンアオザイの代表格です。なので若い子は黒のアオザイを着ようとはしません。

其の四:スリムでなくても着れる

アオザイのモデルは細くて背が高い人がいつもモデルになっていますので、身体が太いと入らないと思われがちですが、アオザイ自体は結構伸縮性がある上、色々なサイズがありますので太っていても着ることができます。実際ベトナムのおばさんで恰幅のいい人はたくさんいますし、そういった人も普通に着ています。もちろん絵になるかと言われればそんなことはないので、若い女性はアオザイを着る機会があると頑張って体形の調整をします。

其の五:胸は詰め物

アオザイを着ている女性はやたら胸が大きく見えますが、ほとんどが詰め物です。なので男性諸君は騙されないようにしてください。縦のラインが目立つアオザイに胸の出っ張りがあるとスタイルが強調されます。しかし実際のところアオザイが似合う細い身体に大きな胸というのは、かなり恵まれた人でないと手に入らないものなわけで、そこは詰め物でカバーしているのです。ベトナムで売られているブラジャーは胸の大きさが盛られますので普段の服装でも胸が大きく見えますが、アオザイはそれが顕著に出ます。

其の六:男性用アオザイもある

何となく「アオザイ=女性の伝統衣装」と思われがちですが、男性用のアオザイもあります。見たことこそあれど、それがアオザイと呼ばれていることを知らないという人も結構いるものです。アオザイはベトナム人男女の伝統衣装なのです。

アオザイは神聖な衣装:こんな日本人に顔をしかめるベトナム人女性

アオザイは伝統衣装であり、フォーマルな服なので下世話なことに用いられるのを嫌います。例えばホーチミン市の日本人街レタントン通りには、いたいけなマッサージ屋の前でアオザイを着た女性が客引きをしていますが、これは一般のベトナム人から見て大層不愉快なものだそうです。ベトナム人相手にもこの手のマッサージ店はありますが、接客の女性がアオザイを着ているということはありません。あくまで日本人相手にはアオザイを着ていた方が受けがいいということで、その格好なんだと思われます。

ある日本人男性で恋人のベトナム人女性にコスプレをさせていた人がいました。他のどんな衣装でもOKでしたがアオザイだけは拒否されたとのこと。アオザイでのそういった行為はふさわしくないとのことで、それぐらい特別な服だということが窺えます。

早い話がアオザイにエロを持ち込むなというわけでして、これはベトナム人男性も似たような感覚を持っています。普通にアオザイを着た女性に目を引かれるのは問題ありませんが、あまりやらしい目で見ると軽蔑されるかもしれませんのでご注意ください。

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