ベトナムで聞かれる「バナナ酒」「バナナ鍋」

「バナナの酒ってどんな味なんですか?」「ベトナムにバナナ鍋ってあるんですか!?」

時折日本人から聞かれる話です。私たちが普段食べているバナナから味を想像すると何とも微妙な気分かと思います。バナナ酒については「rược chuối hột」、バナナ鍋については「lẩu ếch chuối」を言ってるかと思われますので今回はその2つについて書きたいと思います。

バナナ酒

(乾燥したchuối hột。2週間ほど酒に漬けると色や味が出て来る)

まずバナナと聞いて一般に日本人が思い浮かべるのは猿が食べているような甘くて柔らかいバナナかと思います。とりあえずそのバナナを使った酒かと言われるとそうではありません。そのバナナを使った酒と聞けばベトナム人でもNo Thank youでしょう。

バナナ酒とは「種ありバナナを乾燥させたものを漬けた酒」となります。種ありバナナは日本では一般的ではありませんが、私たちが普段食べているバナナは変異&品種改良されたバナナです。ベトナムでは一般に私たちが食べている甘いバナナを「chuối(チュオイ)」、酒や調味の類として使われる種ありバナナを「chuối hột(チュオイ ホット)」と呼びます。

この「chuối hột(チュオイ ホット)」を使った酒はベトナム人から日本語で「バナナ酒」と言われますが、日本語訳としてそうとしか言いようがないというところが実際のところです。もう少し正確に訳すなら「種ありバナナの酒」といったところでしょうか。作るときにはかりんとうのように小さく乾燥したchuối hột(チュオイ ホット)をそのまま、あるいはブツ切りにしたものをベトナムの白酒に漬けます。

このバナナ酒は適度な量では腰痛やリューマチの類に良いとされ、自分の家で漬けた酒を仲のいい身内や知人にふるまうこともよくあります。(ただ腰痛やリューマチなどに良いとされるベトナムの地酒は他の種類でもよく聞かれることから、漬けている物そのものより悪酔いしない良質な白酒なのかどうかが血行の循環において重要なのでは?と個人的に思っています。)

バナナ鍋

(バナナ鍋。カエルの肉や揚げ豆腐、淡水の貝類などが一緒に入れられる)

鍋にバナナを入れる。これも日本で認識されているバナナを鍋に入れるならベトナム人でもNo Thank youです。ベトナム語では「lẩu chuối」「lẩu ếch chuối」と言われ、前者は直訳すれば「バナナ鍋」、後者は「カエルバナナ鍋」となります。一部の人には鍋にカエルという時点で「ひえー( ;∀;)」かもしれませんが、とりあえずそれは置いといてバナナの解説にいきます。

ベトナムで食される「バナナ鍋」のバナナとは、私たちが普段食べているバナナの熟れる前、つまり真っ青な状態のバナナを放り込んだものと思ってもらえれば分かりやすいです。熟れる前なので当然甘みはなく、感覚的には芋を食べているような感じです。

この鍋の汁は入れる香草、香辛料の類から独特の黄色い色合いをしていまして、それに合う肉類としてカエルの肉が好まれます(他に豚肉もOK)。もしかしたらバナナ鍋と言われて知らない間にカエルも一緒に食べている日本人もいるかもしれませんね。味はまあ私にとっては可もなく不可もなくですが、煮詰まると普通の鍋以上にドロドロ感が増すのでダラダラ酒飲んで食べるには個人的にあまり好みません。

バナナ酒、バナナ鍋、とちらもローカルではポピュラーなものなのでもし興味があればローカルの店で1回食べてみてはいかがでしょうか。

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